プロ野球とデータ
野球は個人やチームの成績を数値で表しやすく、データ分析向きのスポーツと言えます。また1シーズンの試合数が多く、サンプル数=N数が増えることでより正確なデータを出すことが可能となっています。
プロ野球においては、2001年以降は1チームあたり140試合以上(2021年シーズンは143試合)となっており、かなり信頼度の高いデータを出すことができます。
従来の評価指標
野球の成績と言えば、個人タイトルにもなっている下記の指標が注目されてきました。
打者指標
打率 | 打数あたりヒット数 (安打÷打数) |
安打数 | ヒット数 |
本塁打数 | ホームラン数 |
打点 | 打者成績によって返した走者の得点 |
出塁率 | 安打・四死球で出塁した割合 |
上記は一例です。
投手指標
防御率 | 9回あたり失点数 (自責点×9÷投球回数) |
勝利数 | 投手の勝利数 |
勝率 | 勝利の割合 |
奪三振 | 奪った三振数 |
ホールドポイント | ホールド数+救援勝利数宇 |
セーブ数 | 救援投手のセーブ数 |
上記は一例です。
セイバーメトリクス
上述した従来の指標では、選手個人の能力を正確に把握できてはいないのではないかという問題提起がされるようになってきました。チーム状況や対戦相手の兼ね合いなど運の要素に左右されるからです。
そこでセイバーメトリクスという考え方が生まれました。簡単に言うと、選手個人の能力を統計学的に数値化したものです。
セイバーメトリクスとは、野球ライターで野球史研究家・野球統計の専門家でもあるビル・ジェームズによって1970年代に提唱されたもので、アメリカ野球学会の略称SABR(Society for American Baseball Research)と測定基準(metrics)を組み合わせた造語。
主なセイバーメトリクス指標は下記の通りです。
詳しくはコチラにまとめています。
セイバーメトリクス 指標一覧【総合評価】
セイバーメトリクス 指標一覧【打撃・走塁】
セイバーメトリクス 指標一覧【守備】
セイバーメトリクス 指標一覧【投手】
打者指標
OPS | 総合的な打撃貢献度 (出塁率+長打率) |
IsoD | 四死球での出塁率=選球眼 (出塁率-打率) |
IsoP | 純粋な長打力 (長打率-打率) |
BABIP | 本塁打を除くグラウンド内に飛んだ打球が安打になった割合 |
TA | 打者が1アウトあたりどれだけ塁を進めるか |
上記は一例です。
投手指標
QS率 | 先発投手の安定率 (6イニング以上投げ、3自責点以内に抑える割合) |
WHIP | 1イニングあたりに出す走者(被安打・与四球)数 |
被BABIP | 本塁打を除くグラウンド内に飛んだ打球が安打になった割合 |
FIP | BABIPの影響を排除した防御率指標 |
K/BB | 主に制球力を表す指標 (奪三振数÷与四球) |
GO/AO | ゴロアウトの多さ指標 (ゴロアウト÷フライアウト) |
上記は一例です。
データで楽しむプロ野球
セイバーメトリクスによって、運要素に左右されにくい選手の真の貢献度が数値化されるようになりました。難しい指標もありますが、上記に挙げたわかりやすいものから見てみてはいかがでしょうか。これらのデータを元に成績を見ると、今までとは少し違った視点で評価できるようになるかもしれません。
プロ野球の楽しみのひとつに「データを見る」があると思うので、これを機にセイバーメトリクスにも触れてもらえると嬉しいです!
マネーボール
2000年代、オークランド・アスレチックスのGMビリー・ビーンは球団の資金力がない中でセイバーメトリクスを重視したチーム編成を敢行し成功を収めました。
その改革を描いたノンフィクション小説『マネー・ボール』によってセイバーメトリクスはより広く知られるようになりました。ブラッド・ピット主演で映画化もされているので、興味があれば見てみてはいかがでしょうか。